わたあめ―kimi to hajimete―
チャポン―
「ふ―…」
なんか…疲れたな…。
明日には家に帰れる。
もう、今回で最後にしよう。
これ以上関わるのはやめよう。
携帯も変えよう……。
空を見上げると、満月が明るく輝いている。
そういえば、
お姉ちゃんって太陽より月が好きとか言ってたなぁ〜…。
『月に向かって唄うとね、
会いたい人に会えるんだよ。』
〜♪♪〜
私は月に向かって歌い出した。
(どうか、お姉ちゃんに届きますように……。)
〜〜〜〜〜♪
「ふぅ…。
ちゃんと届いたかな。」
ねぇ、私はまだ会いに行ったらいけないのかな。
早く会いたいな……。
パシャン…
(え、今のって前の方からしたよね……?)
前の方にある岩から微かな水音がしたから、気づかれないようにそーっと近づいてみた。
そこに居たのは……
「神田君?」
「…あ!えっと!!違うんだ!!
汗かいたからここ来て入ってたんだ、誰か来たのは分かったけど、まさか橘さんだとは思わなくて!!出るに出られなかったんだ!!本当だよ!!」
一気にまくし立てるように話す神田が見ていて面白くてつい笑ってしまった。
「ふふっ……そんな必死に言わなくていいのに。
後から来たのは私なんだし、
気付かなくてゴメンね?」
「えっ、いや、こちらこそ。」
「ちなみに聞くけど、
もしかしてこの露天って…」
「その……混浴…」
耳まで赤くなってる(笑)
「橘さん…その腕どうしたの??」
今まで赤くなっていた神田が急に私の左腕を驚いた顔して見てきた。
「あ、これ?祭りのとき
絡まれたから多分その時のよ。」
「絡まれたって……」
「平気よ。
相手は2人だったしね。」
「ゴメン。もっと早くに見つけてれば…」
「どうして、神田君が謝るの??
さ、もう上がって?
神田君が上がらないと上がれないから(苦笑)」
「あ、そうだね!今上がるよ!!」
「ちゃんと後ろ向いてて上げるね(笑)」
神田はまた真っ赤になって脱衣所に向かっていった。