わたあめ―kimi to hajimete―


パッパー

クラクションの音が辺りに響いた。
振り向くと和君が窓を開けてこっちを見ている。

「あ、和君だ!」

手を振ると手招きしてくれた。


「じゃあ、佐藤君、今日はお疲れ様!またね!!」

「あ…お疲れ様です。」

急いで助手席に乗り込むと車は安全運転でアキの待つ自宅へと向かった。

****************************


元旦―


はぁ…コタツは落ち着く。
アキは和君と遠出したし、多分、今日は帰って来ないだろう。


〜〜♪〜〜♪


ゴロゴロしていると着信がなった。

『矢野さん』

(え!?矢野さん??)

何かあったのかと思いつつ、
電話に出た。

「はい、もしもし?」

『明けましておめでとうございます。』

「おめでとうございます。
今年も宜しく御願いします。」

『こちらこそ、御願いします。』

挨拶ならメールですればいいのに……。

『綾乃さんは、今からお暇ですか??』

「はい?……暇ですけど…。」

『マスターがおせちを作ったんですがよければ今から店に来てください。』


おせち!?
マスター…料理好き過ぎる…。

『綾乃さん?』

「あ、来ます。遅くなりますがいいですか??」

『どのくらいかかりますか??』

「電車で約90分です(汗)」

時間がやっぱりかかり過ぎだよね……。

『…遠いですね。
では、迎えに行きます。』

……えっ?!迎え?!


住所は今と少し違うところを履歴書には書いている。確か、あの辺りの目印は……、


「あの!近くに〇〇球技場があるので、そこに来ていただいていいですか?!」

『分かりました。
では、1時間内で来ます。
待っていて下さいね』

そう言って切られた電話を呆然と見ながら考える。

1時間?!ここからバイクで球技場までは約15分。
今からメイクして着替えてたらギリギリ間に合うか――




急いで着替えてバイクを走らせ球技場に行くとまだ、矢野さんは来ていなかった。
< 117 / 237 >

この作品をシェア

pagetop