わたあめ―kimi to hajimete―
奇跡
気付いた時には海だった。
ここは……まさか!
気付いたら走ってた。
確か…この先に。
あっ………た。
目線の先には灯台が
あった。
今、何時だろ……
電源を入れて時間を確認すると、夜の9時を過ぎていた…。
〜〜♪♪〜♪
突然、着信が鳴った。
『アキ』
私は電話に出ることにして通話ボタンを押す。
「もしもし…」
『カノ!今どこにいるの?!』
「ねぇ、アキ…今日ね…
言われたの……。」
『カノ?どうしたの??』
私はアキの質問に答えようとしなかった。
「綾乃さんをお嫁さんに貰う方は幸せでしょうね。だって。」
涙が頬を伝うのが分かった。
『カノ!?お願い!
今どこにいるの!?』
アキの悲鳴のような叫びも今の私には何も感じない。
「今、お姉ちゃんが
生きてたらきっと、
照れながら雅君を思い出してたと思うの……。」
そう、お姉ちゃんには恋人がいた。
『西野雅希』
和君のお兄さん。
「アキ?心配してくれて
ありがとう。」
『カ……ノ??』
アキ、いつもありがとう。
「あのね、アキ。
たった一つだけ、
アキを心配させない方法があるの。」
そう、最初からこうしておけば良かったんだ…。
「ねぇ、アキ…。
前に言ってくれたよね。
私はきっと幸せになれるって」
『言ったよ!カノは絶対に幸せになれるよ!!』
「あのね、私は幸せになりたくないの。」
私は2人を殺してしまった。
お姉ちゃんと雅君を。