わたあめ―kimi to hajimete―
翌日―朝
私は主と向かい合って座っている。
「さて、何をまず訊きたい?」
コーヒーを片手に主が訊いてきた。
「今日は何月何日ですか?」
まず、一番訊きたかったのは
日付だったから訊いた。
「今日は、2月4日だ。」
「2月……4日??」
あれから、1ヶ月経っていたんだ。
「そうだ。次に訊きたいことは?」
「何故、助けたんですか?」
「お前が生きていたからだ。」
あっさりと言われた言葉は酷く重たかった。
「他には??」
私は思いつかなかった。
この2つだけしか頭になかったから。
「ない…です。」
「では、俺も訊きたかったことがある。」
「え……?」
まさか、質問されるとは
思っていなかった。
「帰る場所はあるのか?」
帰る……場所?
それは……どこ?
「ない……です。」
「なら、最後に連絡をとった相手は??」
アキ……。
「大切な友人です。」
「その友人に会うつもりは??」
何故、そんなことを訊くんだろうか……
「酷いことを言ったんです。
きっと、傷付けた。」
「そうか。今、お前は生きてる。
それは分かるな?」
生きてる………
「はい。」
「大切な友人なら、
会って、言わなきゃいけんことがあるだろ?
お前は今、生きてるんだ。」
言わなきゃいけないこと……
1つある。もし、生きてたら伝えたかったこと。
「謝りたいです……。」
会って謝る。傷付けたこと、心配かけたこと全部。
だけど、
「会ってくれるでしょうか……」
嫌われて、見捨てられて
当然のことを私はしたんだ。
「それは、本人に聞け。
おい、入れ。」
主が扉に向かって声をかけてすぐに扉が開いた。