わたあめ―kimi to hajimete―
夕方、私は私服に着替えてバイト先の向かいの道にいた。
神田と一緒に。
「なんか、ゴメンね。
無理矢理付き合わせて。」
今日、店に来たのは謝罪するためだった。
和君が一応、入院してると言いにいってくれたらしいけれど詳しい事情は話せる筈がなかったため、そのままだったから。
「いや、いいよ。
オレ…ついてこようか?」
店に行くとアキに告げたとき、自分はバイトがあって行けないから、神田を連れて行くように言われて、逆らえずにここまで乗せてもらった。
「ううん。ここまで連れてきてくれただけで充分だよ。ありがとう。」
この件に神田は関係ないのにね……
「それじゃ、行くね。」
「終わったら、言って?」
なんで………??
首を傾げながら神田を見上げた。
「まだ、完治してないんだろ??
家まで送るよ。」
人が好すぎるぞ、神田。
でも、その好さにみんな惹かれるんだろうな。
「多分、長くなるから
先に帰って。
帰りは和君が来てくれるから。ね?」
「………分かった。」
あんまり納得してなさそうな顔をして、返事をした神田は、バイクに跨り、帰っていった。
「よし、行くかな。」