わたあめ―kimi to hajimete―
「違うわ。」
……えっ?
川崎さんの目は真剣で
まるで全てを見透かすような目だった。
「綾乃ちゃん、もう一度訊くわ。体はもういいの?」
あ…、気づかれて…
「その…まだ、
完治はして…ません。」
これ以上、嫌われてはいけない。ここは正直に言おう。
「ねぇ、綾乃ちゃん?
綾乃ちゃんが私に心配させまいとして、言ってくれたのは分かってる。」
そう、咄嗟のウソもここではすぐにバレてしまう。分かってた筈なのに、どうしてついたんだろう。
「でもね、少なくとも私は、痛みを隠される方が心配だし、辛いの…っ」
顔をあげると川崎さんはまた泣いていた。
「お願いだから、
痛いときは痛いって言って。
ね?」
なぜ?とは訊けなかった。訊いてはいけない気がしたから。
かわりに私は「はい。」と言っていた。
「よし、とりあえず中に入ろっか!寒いし(苦笑)」
「立てる??」そう訊いてくれた川崎さんはもう泣いてはいなかった。
私は立ち上がって、川崎さんと店の中に入った。