わたあめ―kimi to hajimete―


「いらっしゃいませ―」

一つのメンズショップに入ってみた。
色んな服や小物があって、つい珍しくてキョロキョロしてしまう。


(あ、あれ神田に似合いそう。)

壁に掛かっている帽子に手を伸ばしてみた。

(と、届かない〜〜〜っ)

「こちらの商品ですか?」

「あ、はい。」


横を見ると店員さんが帽子をとってくれた。

「どうぞ。」

「あ、ありがとうございます。」

そうだ!今訊いてみよう。

「あの、10代の男の人が欲しい物って何ですか!?」

「彼氏にですか?」

……なんでそうなる;

「いえ、クラスメートにです。」


「どんな方ですか?」

どんな??……えっと……

「茶髪にピアスの柴犬?」

うん、そんな感じだ。

ぷっ………

「えっと、あの……」

なんで笑うの??

「すみません。
何か、普段の行動で特徴はありますか?」

普段の神田の行動??
私が分かるのは……

「いつも元気で登下校はバイクでしてます。」

「なら、こちらの革手袋
とか如何ですか??」


そういえば、バイクに乗るとき神田もつけてたな。でもこれより…

「あっちの革手袋の方が似合うかも。」

「こっち?はい。」

店員さんから受け取った革手袋をはめた神田を想像してみる。

(うん!似合ってる!!)

「すみません。
これとこの帽子ください。」

「ありがとうございます。」


ショップを出た時はもう真っ暗だった。
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