わたあめ―kimi to hajimete―
「ただいま。」
「お帰りなさい。
みんな、待って……あら!」
玄関に神田のお母さんがお出迎えしにきた。
「こんばんわ。
夜分遅くにすみません。」
「こんばんわ!
久しぶりね♪元気だった?」
「あ、はい。」
久しぶりに見た神田のお母さんの笑顔は私をスゴく安心させた。
「春哉はいるか??」
「えぇ、いるわよ!春!はーる!!
さ、上がって!上がって♪」
「あ、いえ……
もう、すぐ帰るんで……」
リビングから神田が顔を出した。
「なに?
あ、父さん。おかえ……り」
神田と視線がぶつかって、
神田の目が見開かれていく。
「ただいま。
春哉に用があるそうだ」
そう言ってすぐ、
神田のお父さんとお母さんはリビングに入っていった。
「こんばんわ…。」
「こんばんは。
え、どうしたの??」
「これ…、渡そうと思って。
今日、誕生日でしょ?
誕生日、おめでとう。」
……………………。
「ほら、この前も無理矢理付き合わせちゃったでしょ!?
だから、そのお礼もかねて…るの……。」
……………………。
なんで何にも言わないの??
やっぱり、迷惑だったのかな……
「あの、やっぱり、迷惑だったよね!ゴメン!それ、捨ててね!!
それじゃ…」
言うとすぐにその場から
私は逃げるように玄関を飛び出した。