わたあめ―kimi to hajimete―


昼休み。


いつもみたく、1人でお弁当を食べていた。
ちなみにアキとは時々、一緒に食べている。


「怪しまれたら嫌だしね…」

でも、やっぱりアキと食べる方がご飯が美味しい。



ガチャ―

屋上の扉が開いた音がして、
とっさに隠れた。

(だ、誰!?)

「橘さん?いないの??」

この声――神田??

「神田…君…??」

「あ、良かった〜。」

「どうかしたの?」

「あのさ、ここいいかな?」

……へ?

「いいけど……。」

「サンキュ!」


なんで、神田と並んでご飯食べてるんだ……。
そういえば…
いつもより甘い香りがする。


「何かあったの?」

「へ?ふぁんで??」

いや、パン詰め込みすぎだから。

「走ってきたでしょ?
それに、香水が甘くてキツい。」


「あぁ…。
杉内たちと飯食ってたらお姉様の大軍が来て逃げてきた(汗)」


3年にまで人気があるのか…

「そんなに香水ついてる?」

腕や服の匂いを嗅ぐ姿はやはり犬っぽい(笑)

「うん。」

「ゴメンね!
でも、もう少し居させて!!」


「いいよ。
1人でご飯食べるのちょっと寂しかったし(苦笑)」

「え…?」

「前は1人で平気だったんだけど…最近はアキが来てたからかな。1人の時ってあんまりご飯美味しくないの……。」


なんで、神田にこんなこと話してるんだろう…。

「じゃあ…、
俺また来ていい?」

……は?なんで??

「神田君は友達と食べなよ。」

「そう…だよね…。」

そんな落ち込むことなの?!
……仕方ない…か…


「ここ、別に私だけの場所じゃないから…、誰が来てもいいんじゃない?」


「……え?」


「ただ、私はここが好きだから、あんまり大人数は嫌だ。」


「サンキュ!」


隣を見ると笑顔の神田がいた。
< 154 / 237 >

この作品をシェア

pagetop