わたあめ―kimi to hajimete―
今日のバイトはピアノ。
ドレスを着て支度をする。以前と違うのは傷跡が絶対見えないドレスを着るようになった。肩紐のタイプや背中が開いたのはもう着れない。
「失敗したしなぁ(苦笑)」
コンコン―
扉がノックされて
川崎さんが顔を出す。
「支度出来た??」
「はい。」
「今日、リクエストが入ってるんだけどいい?」
「知ってる曲なら♪」
「じゃあ、これがリストね!」
川崎さんが1枚の紙を渡した。
あ、これ知ってる!
「大丈夫です!」
「分かった。
じゃあよろしくね!」
「はい!」
更衣室を出ると
スタッフが「頑張れ」と言ってくれる。
さぁ、今日もお客様に応えていこう。
ピアノの前に立ち、一礼してから座る。
ピアノに楽譜は置いてない。目を閉じて深呼吸。
私は、橘 綾乃。
ここは、私の晴れ舞台―