わたあめ―kimi to hajimete―


「佐藤君!」

「え、うわっ!」

うわっって失礼な……

「どうかしたの?
さっきからずっとウロウロしてるよね??」

「え?!
もしかして目立って…ました?」

「かなり(苦笑)それと、
ここ店じゃないからタメ口でいいよ!」

本当は私の方が年下だけどね。

「え、あ…じゃあ…」

「ショップに入らないの?」

『killer』を指差して聞いてみた。

「なんか入りづらくて…」

凄く入りやすいのに…
…!そうだ!!

「じゃあ、一緒に入る?
友達と行こうって話してたの。」

「いいの?!
ってか友達って??」

「アキ!!」

アキに向かって手を振るとすぐこっちに来てくれた。

「佐藤君、友達のアキとその彼氏の和君。アキ、バイト先に短期で来ていた佐藤君。」

「初めまして!
いつも、……綾乃がお世話になってます!!」

アキ…そんな満面の笑顔で言うと和君が妬くぞ…

「は、初めまして!
綾乃先輩にはいつもお世話になってます!!」

なんで真っ赤になってんの??


「あのね、佐藤君もショップに一緒いい??なんか、入りづらいんだって…。」

「いいよ!
じゃあ、行こっか♪」

「……あぁ。」

和君…?
なんか、機嫌が悪くなった??

「和君?どうしたの??」

すると、和君が耳元で囁いた。


「お前は…香弥乃だろう?
だから、俺は絶対に綾乃とは呼びたくない。」


そう囁いてすぐ、和君はショップに入っていった。


和君……ゴメンね…。
でも、夢だったから…
あの店で働くことが
『綾乃お姉ちゃん』の
夢だったの………。
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