わたあめ―kimi to hajimete―


「ウソだ……。」


ボソッと呟いた。
だって、あれはめったに出ないし。
そもそも本なんて読まなさそう。


「ホントだよ。そんなに意外だった?(笑)」


「うん。」


「だよね…。ところで、それ、飲まないの??」


指で指したのは私が持っていたジュースだった。

「うん…。炭酸飲めないから……。」


「えっ?!」


(しまった!!
言うつもりなかったのに―)


気まずくて俯いてしまった。


「ゴメン!!」

へ?

突然謝られて、彼に視線をもどすと、頭を下げている彼がいた。

「俺、なんにも知らなくて……。ちょっ、ちょっと待ってて!!炭酸じゃないやつ買ってくる!!」


そう言って走って買いにいこうとしていたため、慌てて彼の腕を掴んでいた。

「待って!」

驚いた表情をした彼と目があう。
ぱっと掴んでいた腕を離して彼から視線を外しながら


「あっ…、別にいいよ。
買いにいかなくて。」


「え?でも、」


「いいから。
そんなに喉、渇いてないし。」


嘘。ほんとは凄く喉渇いてた。
だから、ジュースくれたときは少しだけ、嬉しかった。



「そっか!なんか俺余計なことしちゃったね!ゴメンね!!」


そう言った彼の顔は寂しそうな笑顔だった……。
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