わたあめ―kimi to hajimete―


「川崎さん、
点検お願いします!」

「はいよ!
綾乃ちゃん体調はどう?」

「大丈夫です。
すみませんでした。」

「体調管理も仕事の1つよ!」

確かに…。

「……はい。」

「ところで、こないだの
男の人って彼氏なの??」

…………え?!
あ、『香弥乃』の彼氏だけど、
『綾乃』のではないから…

「違いますよ。
あれは…友人です。」

「え―!
友人が迎えに来る!?」


え―と…、
もう来ないと思うし
きっかけ話すかな…


「あの、もう終わったこと
なんですけど…」

「なに?」

「少し前に、『killer』の
店員さんが来店されたの覚えてますか??」


「覚えてるわ。
マスターに怒られたから(笑)」

「その日、店が終わった後に告白されたんです。」

「……ホントに?!
それでそれで??」

「お断りしました。
『何も知らない人と付き合いたくない』って。
そしたら、翌日から店が終わって、表に行くと店員さんがいるんです。」


「……………それって…」

興味津々に輝いていた川崎さんがだんだん青ざめた顔になってきた。


「自分のこと話しながら駅まで付いて来てて…
それが一週間くらい続いて。
それで、友人に相談したら、『彼氏がいれば諦める』って言われて…。
この間、迎えに来てくれてたのはその彼氏役をお願いした友人なんです。」

……って、川崎さん?!
なんで泣いてるの??!

「…それで、もう大丈夫なの?」


「あの、なんで泣いてるんですか??」


「泣いてないわよ!!!」


え?!泣いてますってば!!
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