わたあめ―kimi to hajimete―
「い゛っ!!っつ〜……」
痛い!!私のバカ!!
背中…治れ!!
「……どうかしたのか?」
「……な、何でもない。」
「声、震えて……って
おい!大丈夫か!?」
「来ないで!!」
今、近くに来られたら
傷跡がバレてしまう…。
「来るなって……それ…」
………え?
振り向くと真後ろに
神田が立っていた。
……………はぁ
「しばらくさすれば治るから、
先にあがって、ね?」
お願いだから、早く!!
「……さすれば…いいのか?」
「…え?…あ、ちょっ…っつ!!」
神田の手が背中の傷跡をさすり始めた。
優しく、ゆっくりさする神田のおかげかひきつけは早く治まっていった。
「ありがとう。もう平気よ。」
「いや、それって…
去年はなかったよな…?」
「去年…って、えっち(苦笑)」
「え、あ、違う!!」
「何が違うの?(笑)」
「〜〜〜〜〜〜っつ!!」
「冗談よ。さ、上がって?
後ろ向いてるから♪」
「その傷…どうしたのか
聞いても…いいか??」
やっぱり、気になるよね…
「条件がある。」
「…条件?」
「この傷のことを話す代わりに、もう私に関わらないで。」
そうすれば、私も調子が狂わなくてすむ。
「……断る。
でも、傷のことは知りたい!」
……………は?
神田の顔は真剣で
冗談を言ってるようには見えなかった。
「…上がったら、部屋にきて。
2階の弥生の間。」
今回は、旅館の方に泊まってる。女将さんのご好意で。
「分かった。」
そう返事して神田は上がっていった。
「話したら…
自然に離れてくれるよね…。」