わたあめ―kimi to hajimete―

ガチャ―｡


｢アキ､着替え早い……
あ､和君｡おかえり〜｣


｢……………………｡｣

あれ…なんか怒ってる?

｢和…君?｣

｢なんで､黙ってた?｣

｢………え?｣

｢とぼけんな｡
親父達との"約束"だよ｡｣

…………なんで…

｢誰が……話したの??｣

｢たまたま､親父が他の親戚に話してんの聞いたんだよ｡｣


……おじさんのバカ…

｢和君に話さないことも"約束"に含まれていたからだよ｡｣


｢なんだそれ…｣

｢あの時､和君と話すなんて無理だったじゃない?
それに､もし確執みたいなのが起こったら｡って
だから､話さないって約束したの｡｣

｢お前はそれでいいのか?
綾乃さんの墓参り
出来なくていいのかよ!!｣


｢私が墓参りに行くより
雅君と同じお墓に入ってることの方がお姉ちゃんも喜ぶよ｡｣


だから私は頭を下げたんだよ｡
お姉ちゃんと雅君を同じお墓に入れて下さい｡
変わりに私はお墓参りにも来ないし､二度と現れないって｡


｢そんなん､お前が辛いだろうが｡｣


｢私はね､約束がなくてもお墓参りには行くつもりないの｡だって､私が殺したんだから｡それに､和君がしっかりお参りしてきてくれるから｡｣


｢あれは､事故だ!!!｣


｢その事故の原因は私｡｣

｢カノ……｡｣

｢あ､アキ…｣

｢アキは知ってたのか?｣

｢うん｡黙っててゴメンね｡｣

｢謝るな｡
カノ､最後に1つ教えてくれ｡｣

｢なに?｣

｢墓地の場所は知ってるのか?｣


｢知らない｡知ればきっと行ってしまうから｡だから教えないでね｡｣


｢………分かった｡｣

｢さて､夕飯にしよう｡
和君特製中華が食べたい｡｣


｢いいね!和希作って♪｣

｢へいへい｡｣




ゴメンね｡和君……