わたあめ―kimi to hajimete―
ピンポーン――
『はぁ――い』
家の中から声とともに
パタパタと足音がした。
ガチャ―
「どちら様で―
あら、香弥…「シー……」
玄関から顔を覗かせた神田のお母さんの言葉を私は人差し指で遮った。
そうすると、神田のお母さんが内緒話をするかのように小声にしてくれた。
「久しぶりね…。
どうしたの?」
私の声も小声になる。
「朝早くにすみません。
あの、神田君は……」
「春なら、まだ寝てると思うわよ??待ってて、今、起こしてくるから…」
「あ、いえ、いいんです。
あの…、お願いがあるんですけど…」
「なぁに?」
「神田君が起きてきたら、外に出るように言ってほしいんです。私がいることは内緒で………。」