わたあめ―kimi to hajimete―
「内緒なの?」
神田のお母さんは首を傾げた。
「はい…」
もしここに来てることが神田にバレて、「会いたくない」とか言われたらそれで終わってしまう。
それは避けなきゃいけない。
「春となにかあったのね?」
確かめるように訊いてきたお母さんの目は真剣だった。
「はい…。私が神田君を傷つけてしまったんです。
だから、どうしても謝りたくて…、でも、会って貰えそうになくて…」
手に持っていた携帯をギュッと握りしめながら私は呟いた。
「………分かったわ。」
そう言って、神田のお母さんは家の中に戻っていった。