わたあめ―kimi to hajimete―


「内緒なの?」



神田のお母さんは首を傾げた。


「はい…」


もしここに来てることが神田にバレて、「会いたくない」とか言われたらそれで終わってしまう。



それは避けなきゃいけない。



「春となにかあったのね?」



確かめるように訊いてきたお母さんの目は真剣だった。



「はい…。私が神田君を傷つけてしまったんです。
だから、どうしても謝りたくて…、でも、会って貰えそうになくて…」



手に持っていた携帯をギュッと握りしめながら私は呟いた。




「………分かったわ。」




そう言って、神田のお母さんは家の中に戻っていった。
< 224 / 237 >

この作品をシェア

pagetop