わたあめ―kimi to hajimete―
「……なんで…?」
そこに居たのは、
遅刻魔の神田春哉だった。
「おはよう、橘さん。」
「おはよう。神田君」
いつも通りの挨拶をしてきたから、私も反射的に返していた。
「今日早いね♪」
「神田君も。」
私はいつも通りの言葉と態度をするように努めた。昨日のことがあるからだ。
ここは学校で、
相手はクラスメート。
「俺?俺はね〜
橘さん待ってたの♪」
は…?
「どうして?」
答えは分かっていたが
あえて聞いてみた。
「だって、これ忘れてったでしょ?」
彼の手にあるのは、
私が昨日ベンチに忘れていったもの。
ちなみに今は予備のメガネをつけている。
これも伊達だが。
アキがくれたから、
いつも同じメガネをつけていた。
「拾ってくれたの?」
「うん!」
「ありがとう。」
一応、礼を言ってから
手を差し出した。
が、