わたあめ―kimi to hajimete―


「あ―――――!!!」




ここが学校で、
後ろに神田春哉がいることをキレイサッパリ忘れた私は思わず叫んだ。



(ヤバイッ!!バイト!!!)


「ど、どうしたの?」



青ざめて時計を見ている私に神田春哉は驚きながら声を掛けた。



(ヤバッ!ここ学校だった!!!)


私は慌てて表情を作って彼のほうを振り向いた。

「神田君、悪いけど戸締まりお願いしていい?」



「いいよ。もともとそのつもりだったし。」



「ありがとう。」




言って、すぐに教室を飛び出した私はとにかく走った。
駅まで歩いて約20分。
発車時刻まで約12分。




とにかく走った。
スカートの裾が邪魔してうまく走れなかったけど


とにかく走った。




(間に合って―――)
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