わたあめ―kimi to hajimete―
願いは届かず、電車は
目の前で発車してしまった。
(どうしよう……。)
一旦、家に帰ればバイクがあるが、それじゃ間に合わない。
拳を握りしめて考える。
でも、いい方法が見つからない。
「橘さん!!!」
突然、大声で自分の名前を呼ばれた。
(この声―――!)
声のした方を見ると、
神田春哉がバイクに跨ってこっちを見ていた。
「乗って!!」
はっ!?
「早く!!!」
「私行かなきゃいけないとこが……」
「知ってる。
だから乗ってよ。」
「どういう…「あ―もう!ハイ!乗った乗った!!」」
渡されたのはヘルメットだった。
「間に合わせるから。」
(そうだ!早く行かないと!!)
私は後ろに飛び乗って…困った………。
(どこ持てばいいんだ…)
少し考えた。
結果、彼の制服の裾を掴んでいた。
「しっかり掴まってないと落ちちゃうよ?(苦笑)」
「………これでいい。」
「ダーメ!」
そう言いながら私の腕を掴んで自分の腰に巻きつけた。