わたあめ―kimi to hajimete―
開いた口が塞がらないとはこういうとき使うのだろう。
なぜ、彼がここまで協力みたいなことをするのかさっぱりわからない。
「ほら!早くしないとホントに遅刻だよ!!」
「げっ!?」
私は腕時計を見て
慌ててコンビニのトイレに駆け込んだ。
急いで着替えて、
メイクして。
コンビニを出ると、
神田春哉が
「乗って!!」
というから慌てて
乗って、
なんとか間に合った。
「おはようございます!!」
裏口から、店に入って
ここで店の制服に着替えて、さらに大人っぽいメイクにアクセ。
髪はゆるく巻いてポニーテール。
準備完了!!
今から私はクラノでも香弥乃でもない。
『橘 綾乃』
それがここでの私の名前―――。