わたあめ―kimi to hajimete―
私のせいで…
「待たせてごめんなさい。」
走って来たから少し息が上がっていたが、待たせていたことには変わりないからとりあえず謝った。なんだか今日はこいつに、神田春哉に謝るかお礼を言ってばかりな気がする。
「いいよ。ゆっくりで良かったのに(苦笑)」
そう言った神田春哉は私服だった。
「夜行バス、
もう来るから預かってくれてた鞄頂戴。」
このバスに乗り遅れたら歩いて帰るしかない。
それは嫌だ。
「送るよ。乗って!」
そう言ってすぐヘルメットを渡された。
は!?
「いいよ。そこまでしてくれなくて。今日も学校だし、帰りなよ。」
送る。ということは、
家がバレるというわけで、
もしかしたらアキと住んでいることがバレてしまう。
(それだけは避けなきゃ―。)
そんな私の考えなんて知るよしもなく、
「ダメ。
女の子をこの時間1人で帰すのは俺が嫌だ。」
(あんたの気持ちはどうでもいいの――!!)
『間もなく、〇〇行き発車致します』
アナウンスが流れた。
(ホントに間に合わない!!)
「あのねぇっっっ!!!」
「ほら、乗って!
鞄返さないよ??」
…………っっっつ!!!
夜行バスが発車してしまった―――――。