わたあめ―kimi to hajimete―
「あ、もしもし?!アキ??」
『カノ!
今どこにいるの?!』
心配しているのがよく分かった。普段なら帰宅してる時間をかなり過ぎていた。
「あ、今ね〇〇商店のとこにいるの。もう帰るよ。」
『なんでそっち通ってるの?!
迎えに行くから大通りに出てなよ!!』
(まずい!今ここにアキが来たら……)
私は、そろ〜と後ろを振り向くと神田君と目があった。
すぐまた背を向けてアキと話す。
「あ、アキ?迎えはいいよ。
ちゃんと大通りから帰るから。
うん、うん、大丈夫!それじゃ。」
私は早口で話して電話を切った。
もう一度、神田君の方を振り向くとなぜか少し怖い顔をしていた。
「あのっ、」
「大通りってどういうこと??」
(なんか、怒ってる……?)
「え?すぐそこの通りのことだけど。」
私は脇道に入る前まで通っていた道を指し示す。
「家、この辺りじゃないの??」
「こっちからも帰れるし近道だから。」
これは本当だ。
「そっか。」
なんだか、
納得したのか
神田君はヘルメットを被ってエンジンをかけた。
「あ!あの、」
「何?」
「送ってくれて、
ありがとう。」
「いいよ。
じゃあ、学校で!」
そう言うと神田君はもときた道を戻っていった。