わたあめ―kimi to hajimete―


駅の明かりが見えてきた。


(あと少しっ)

あっ!!

ズシャッ!


足元の僅かな段差に躓いてしまった。



はぁ、はぁっ


あともうちょっと………っ痛っ!




立ち上がろうとすると足に痛みがはしった。
見ると、ヒールが折れていた。



急いでミュールを脱いで再び駆け出そうとした



その時




「へぇ、結構速いじゃん」


背後から複数の足音と声が聞こえた。




(逃げなきゃっ)




後ろを振り向かずに立ち上がろうとしたが肩を抑えつけられてしまった。



「さっき超痛かったんだけど?」



「ほら、立てよ!」




無理矢理立ち上がらされる。





「あぁ、きたきた♪」



交差点のところでさっきのワンボックスカーが信号待ちをしているのが見えた。



なんとか腕を振りほどこうともがいてもビクともしない。
力の差は歴然としていた。
< 57 / 237 >

この作品をシェア

pagetop