わたあめ―kimi to hajimete―
扉を開けると神田がキッチンでお湯を沸かしていた。
「あの、これ…ありがとう」
借りたタオルをキッチンに持っていきながら神田に声をかける。
「あぁ、いいよ。
そのストッキングもう捨てたら?それゴミ箱。」
「あ、うん」
隅にあったゴミ箱にボロボロになったストッキングを捨てた。
「手当てするからこっちきて。
歩ける?」
氷の入った袋を渡されてリビングに通される。
「これ……?」
「ほっぺた腫れてる。」
(あっ…)
頬に手をやると熱をもっていた。
「ここ座って。」
ソファに座ると、挫いた足首を神田が手当てしてくれた。
「腫れすぎ。真っ赤じゃん。」
「これくらい……別に。」
顔が赤くなるのが分かった
「ふーん…。」
「い゛っ!」
神田が思いっきり挫いた足を掴んだ。
「なにすんっ……」
「もう泣いていいよ。」
…………えっ…
気づいたら神田に抱きしめられていた。
背中をゆっくり撫でられる。
「すぐ助けれなくてゴメン……ゴメンな。
もう大丈夫だから、怖くないから……。」
震える声でそう囁きながら神田は腕に力を込めた。
涙が溢れた。
涙を止めようと目に力をいれても溢れる涙は止まることなど知らないかのように頬をつたっていく。
(怖かった……っ
怖かった……)
さっきのことを思い出すだけで震えがおこる。
神田がいなかったらきっとやられてた。
私は神田の腕にすがって声を押し殺して泣き続けた。