わたあめ―kimi to hajimete―
ガチャッ―
「うるさくて寝れねぇんだけど!!」
突然扉が開くと、
怒鳴り声が響いた。
入ってきたのは大学生くらいの男の人
「…ったく、今何時だと………って……誰?」
呆然と私を見ている人に向かって、
「春哉が連れてきたコ。
えっと……名前は……」
「あ、香弥乃といいます。」
「これ、ウチの長男の冬哉」
「初めまして。」
「初めまして…っか、すげー美人……。」
「手ェ出すなよ。」
救急箱を片付けにいっていた神田が戻ってきた。
「兄貴に近づいちゃダメだよ。
危ないから。」
「そんなことないよ〜。
…てかほっぺた腫れてねぇ?……まさか!…春!!」
「違う!!」
睨んできたお兄さんに向かってお母さんのときみたく必死に否定している。
(家族って…こいうのなのかな…)
「こら、人前でケンカしないの!」
ピタッと止んでお母さんを見る表情がそっくりだったからまた笑ってしまった。
「お前のせいだぞ!」
「なっ!兄貴だろ!!」
「あの、私はそろそろ帰ります。夜分遅くにお邪魔しました。」
ペコリとお母さんにお辞儀をして扉に向かう。
「その足で大丈夫なの?
家はここから近いの?」
「はい。」
(嘘だ。ホントは電車で90分はかかる)
廊下に出たところで玄関から声がした。