わたあめ―kimi to hajimete―


「ただいま…。」

玄関を見ると中年の会社員がこちらを見ていた。

「キミは……」


「あら、
おかえりなさい。あなた。」



「ただいま…。その子は?」

「春哉が連れてきたコ。
可愛いでしょ♪」



「みんな起きてるのか…」

「いいえ、
雪はまだ寝てるわ。」



「起きてるよ。
おかえり、父さん。」


階段をおりてきたのは
小学生くらいの男の子。


「あら、起きちゃった?」

「あんなウルサくて寝れないよ。」


「ご、ごめんなさい!」


今はまだ夜中の2時過ぎだ。
普通ならまだみんな寝ている時間なのに…。


申し訳なくて俯いてしまった。



「いいよ。
それに僕が起きたのはお兄ちゃんたちのせい。」


リビングを指差して言いながら、笑いかけてくれる。


「香弥乃ちゃん、このコがウチの三男の雪哉でこっちが主人。」


「初めまして。
夜分遅くにすみません。」

「いや、構わないよ。
ゆっくりして行きなさい。」


そう言ってリビングに入っていった。



「香弥乃ちゃん。今日はもう遅いから泊まっていきなさい。」




………えっ?!



「うん!決まり♪」


「いえ、
そこまでお世話には…」

「いいじゃん。
でも母さん、寝るとこどうするの?」


「そうね〜
ソファに寝かせるのもイヤだし……。」


なんか話が進んでる(汗)

「よし!香弥乃ちゃん!!」

「は、ハイッ!」


「春をソファに寝かせるから春のベッド使いなさい!」



「えっ、でもそれじゃあ神田君が風邪をひいてしまうんじゃ…」


「いいの!女の子は体冷やしちゃダメよ。」


「でも!」


ここで引き下がったらダメ!!
ソファに泊めて貰おう!!



「じゃぁ〜……」
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