わたあめ―kimi to hajimete―


「兄貴!!」


突然、横から声がした。
そちらを見ると神田春哉がお兄さんを睨みつけていた。


「その手、離せよ。」


「そうだよ。
お姉さん怖がってるよ!」

振り返ると雪君もお兄さんを睨みつけていた。


「うわっ!
ゴメン!冗談だから!!」


お兄さんは慌てて手を合わせて謝ってきた。


「ホンットゴメン!!」


「もう、いいですから。」


「嫌いにならない?」

「なりません(苦笑)」

「そっか!
じゃぁ先に降りてるね♪」


「大丈夫?」

雪君が心配そうに声をかけてきた。

「大丈夫だよ。」

私は笑って応えた。

「じゃぁ
僕も先に行ってるね!」

やっぱ可愛いな♪


そう思いながら、
階段下を見つめる。


「俺らもいこう。」


「あ、うん…」

き、急に真横に立たないでよ!!!

「はい、腕掴まって」

「あのっ!!」

まだ言っていないことがある。言うなら今しかない!

「何?」

こちらをジッと見下ろしてくる神田。


「昨夜は…
助けてくれてありがとう。」


言えた!


「どういたしまして。
てか橘さん強いよね。
オレ驚いたもん。マジで。」


「護身術みたいなの習ってたの。先手を取らなきゃ意味ないんだけどね。」


「そうなんだ!」


「うん…。
あの、手の具合どう??」


「これ?大丈夫だよ♪
もう、降りようか!
多分母さんが朝メシ作って待ってる。
さ、掴まって」


「……うん。」
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