わたあめ―kimi to hajimete―


リビングでは神田のお母さんが朝食の準備をしていた。



「おはようございます。」

「おはよう。香弥乃ちゃん。
ちゃんと寝れた?」

「はい。
昨夜はすみませんでした。」


「席について。
もうすぐ出来るから。」


お母さんっていいな…。




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「じゃぁ、オレもう行くわ。
香弥乃ちゃんまたね!」


「僕も行かなきゃ!
行ってきまーす!!」


「「行ってらっしゃーい」」

「あの、私もそろそろ…」

「あら、もう帰っちゃうの?」

なぜか寂しそうなお母さん(笑)


「はい。
お邪魔しました。」


「またいらっしゃい。
春、服貸してあげなさい。」


「あ、うん。
ちょっと待ってて。」


そう言ってリビングから立ち去ったのを見送ってからお母さんが身を乗り出してきた。


「ねぇ、あの子クラスで
どんな感じなの??」


………え??
私クラスメートだって
言ってないよね???


「前にね、家族で食事に行ったのよ。『welfare』に。
香弥乃ちゃんがピアノ弾いてて、あの子ボーっと見てたから聞いてみたの。そしたら、クラスメートだって言ってたのよ。」



(そんな……)

知られてしまってた。
知られたくなかった。

不安で心がいっぱいになる。
それが分かったのだろう。
お母さんが優しく声をかけてきた。


「香弥乃ちゃん。
心配しなくてもあの子誰にも言わないって言ってたわよ。」



………言わない??
……バレなくてすむの?
お母さんの笑顔になぜか安心感がうまれてきた。



「大丈夫よ。
それで、あの子どんな感じなの?♪」



「神田君はクラスでとても人気者です。彼の周りにはいつも笑顔でいっぱいですよ。」


クラスでの神田を思い出しながらお母さんに話した。
自然と顔も笑顔になる。


「そう…。」


安心したように微笑むお母さんはとても綺麗だった。
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