わたあめ―kimi to hajimete―
行きつけの居酒屋で歩きや自転車組はお酒を飲み、クルマ組はノンアルコールやジュースを頼んだ。
あ―ぁ、佐藤君完全に潰れてる。
スタッフはみんな酒豪だから必ず洗礼を受けてしまう。
私も未成年だけどみんなについていけるくらいには飲める(笑)
「それで、ケガは大丈夫なの??」
川崎さんが突然話しかけてきた。
(…なんでっ…)
「多分みんな、気づいてるよ。
右足にケガしてるでしょ?」
「……はい。
でもいつから…」
「いつの間にか、かな。
なんかぎこちなくて、様子を見てたら右足を少し庇ってたから。あぁ、ケガしてるのかなって」
鋭い…!
自分では完全に隠し通してたつもりだったのに。
「そうだぞ〜無茶は駄目だよ!
綾乃ちゃん!!」
「マスター……」
周りのスタッフも真剣な顔つきでこちらを見ている。
「それで?ケガは大丈夫なの??」
私は正直に言うことにした。
「正直、まだ痛いです。
でも!お店には出たいです。」
「分かった。ただし条件がある。」
「条件??」
なんだろう?
「絶対に無茶はしないこと。痛みが酷くなったら必ずスタッフに言うこと。明日から、レジ打ちを主にしなさい。動き回ると余計悪化するからね。
これが条件だよ。」
マスター……
「はいっ」
ありがとうございます。
声に出そうとしたけど出なかった。