わたあめ―kimi to hajimete―


行きつけの居酒屋で歩きや自転車組はお酒を飲み、クルマ組はノンアルコールやジュースを頼んだ。


あ―ぁ、佐藤君完全に潰れてる。
スタッフはみんな酒豪だから必ず洗礼を受けてしまう。
私も未成年だけどみんなについていけるくらいには飲める(笑)




「それで、ケガは大丈夫なの??」


川崎さんが突然話しかけてきた。


(…なんでっ…)


「多分みんな、気づいてるよ。
右足にケガしてるでしょ?」


「……はい。
でもいつから…」


「いつの間にか、かな。
なんかぎこちなくて、様子を見てたら右足を少し庇ってたから。あぁ、ケガしてるのかなって」


鋭い…!
自分では完全に隠し通してたつもりだったのに。

「そうだぞ〜無茶は駄目だよ!
綾乃ちゃん!!」


「マスター……」


周りのスタッフも真剣な顔つきでこちらを見ている。


「それで?ケガは大丈夫なの??」


私は正直に言うことにした。


「正直、まだ痛いです。
でも!お店には出たいです。」




「分かった。ただし条件がある。」


「条件??」


なんだろう?



「絶対に無茶はしないこと。痛みが酷くなったら必ずスタッフに言うこと。明日から、レジ打ちを主にしなさい。動き回ると余計悪化するからね。
これが条件だよ。」


マスター……


「はいっ」


ありがとうございます。


声に出そうとしたけど出なかった。
< 82 / 237 >

この作品をシェア

pagetop