わたあめ―kimi to hajimete―
危険
(よし!綺麗になった♪)
川崎さんに点検してもらわなきゃ!
「川崎さん!
ホールの掃除終わりました!」
「そっか、じゃあ点検するね。」
そういって、ホールを廻る川崎さんの目は真剣そのものだ。
「…ん、合格!
上がっていいよ♪」
「あ、綾乃ちゃん!」
呼ばれた方を見るとマスターが手招きしていたからすぐに向かった。
「足は大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です!」
「そうか、ちょっと聞きたいことがあるだが…」
「…なんですか?」
「昨日、飲んだ後に健吾を送っていったんだがその時妙なことを言っていたんだ。……『橘先輩、ワンボックスカーで真っ青』ってね。それで、気になって健吾にさっき聞いたんだ。そしたら、一昨日あたりから外にワンボックスカーが止まっていて、それを見た先輩が真っ青になってたんだって。」
耳を疑った。
なんとかしなきゃ!
おそらく、何人かのスタッフは外の車に気づいている。
「あの車、綾乃ちゃんの知り合い??」
背後から川崎さんが会話に加わってきた。
私は笑って、
「…いえ!知り合いの車に似ていただけで違ったみたいです……。」
お願い!
誤魔化されて!!
「そうか……。
ならいいんだ。
でも、何かあるならちゃんと言うんだよ?」
マスターはそれ以上何も聞かないでくれた。
「…はい♪
お疲れ様でした!
お先に失礼します!!」
私はマスターと川崎さんの前から立ち去ろうとした。
「マスター!」
「どうした?」
スタッフの1人がマスターのとこに駆け寄って、
「ここ最近、ずっと同じ車が外に停まってて、さっきゴミ捨てついでにその車をみたら、運転手がずっとこの店を見てるみたいなんです…。」
そんな声を背後に聞きながら私は更衣室に入った。