わたあめ―kimi to hajimete―


着替えて、更衣室を出るとドアの横に佐藤君が立っていた。


「どうしたの?」


「昨日はすみませんでした!!」


「それ、来たときに謝ってたよ(笑)」



昨日、解散のとき佐藤君を揺すりながら起こしたら、服の上にリ〇ースされた。まぁ、上着一枚がダメになったけどね。



「ほら、頭あげてよ!」



「…はい、あの!何かお詫びしたいんですけど!!」


「いいよ、別に。」


「いえ、そんなわけには…」



律儀な人だなぁ…。



「じゃあ、駅まで送って?
それでチャラにしよ!」



「えっ、そんなんでいいんですか??」




「だって、佐藤君ん家って駅と逆方向じゃない?
またこっちに戻ってから帰るのって結構しんどいと思うよ。
だからいいの!ダメ?」



「全ッ然、いいです!
すぐ支度して来ます!!」
言ってすぐに更衣室に入ると中からゴソゴソと音がしてきた。




「これで今日はなんとかなる……かな。」



ポツリと呟いてから、
佐藤君が出てくるのを待っていた。
< 89 / 237 >

この作品をシェア

pagetop