わたあめ―kimi to hajimete―


それから一週間はとにかくあれやこれやと策を練って、あいつらから逃れ続けた。



うん!足もいい感じ♪

帰り際、
2階に上がって窓から外を見る。



「あれ…いない……」


「どうかしましたか?」


「あ、矢野さん。」


矢野さんはここのベテランスタッフの1人で誰にでも敬語なんだよね。
いつも落ち着いてて飴と鞭の使い方がとても上手な人だ(笑)


「あぁ、あそこにいた車ですか?」

「はい…。」

「昨日、帰りにマスターが追っ払いました。
あの人は怒るとヤクザ顔負けですから(苦笑)」


「えっ!?」


マスターってそんな怖いの…?!
………じゃなくて!!


「じゃぁっ!」


「多分もうここには来ないと思いますよ」



「そう…ですか…。」

自然と安堵した表情になる。
良かった…。
これで誰にも迷惑かけなくてすむ……。




「やはり……」


「え…?」


顔をあげると辛そうな表情をした矢野さんがいた。


「やはり、あの車の方と何かあったんですね?」



…あっ!



「いえ、そんなんじゃ…」

「私は、マスターや川崎さんのように誤魔化しに乗ったりはしませんよ?」


……っ!
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