わたあめ―kimi to hajimete―
「お疲れ様でした!
お先に失礼します!!」
そう言って矢野さんから逃げるようにして店を出た。
分かってる!矢野さんは心配してくれてる。
だけど、私はそれになんて接したらいいのか分からない。
考えながら歩くと意外に早く、駅につきそうだったから駅の近くにあるコンビニに入ることにした。
店内には数人の客がいて、酒コーナーにいる客に見覚えがあった。
(なんで……!?
諦めたんじゃ……。)
危険だと分かっていたが近くの棚の影に行って聞き耳を立てた。
「ったく、
あの店員マジムカつく!!」
「あぁ、昨日の奴な。
しかし、あいつも考えたよな!店が無理なら駅でとはな(笑)」
「確かに!それにしてもあの女なかなか隙見せねぇな。いい加減1人になれってんだ!!」
「全くだ!
見つけたら絶対…へへへ」
「俺が先だぞ。
しかし今日は人数集めたよな。ヤル気満々ってか(笑)
途中で割り込んできた男の居所はまだ分かってねぇのか?」
「あぁ、でも〇〇方面らしいってのは確かだ。もしかしたらこの辺にいるかもしんねぇから後でその辺まわるつもりだ。
見つけたら絶対ただじゃおかねぇ!!!」
どうしよう……。
私だけじゃなくて神田も危ない。
とにかくここから離れなきゃ!
男たちに見つからないようにコンビニを出て建物の影から駅を見るとバス停近くに車が一台、更に反対側のバス停にも停まっていた。
あいつら、諦めたんじゃなかったんだ……。
愕然とした。
家に帰るにはバスか歩き。歩くにしても駅は必ず通らなきゃいけない…。
と、とにかく店に一旦戻ってそれから考えよう!
私は来た道を戻りだした。