わたあめ―kimi to hajimete―
ピンポーン…
玄関からチャイムの音がして、時計を見るとお昼をとっくに過ぎていた。
「ちょっと待ってて!」
急いで神田は下に降りて行き、戻ってきたときには和君と一緒だった。
「よっ!待たせたな。」
「ゴメンね。仕事、大丈夫?」
「あぁ。ちょい耳貸せ。」
なんだろ…?
和君に耳を向けた。
「アキが来てる。」
……えっ!?
「アキは神田になら話しても大丈夫じゃないかって言ってる。それに今回の件、神田も危ないんだろ?」
「なんで……」
なんで分かるんだろう。
「俺がお前なら、狙われた者を絶対に外には出さない。」
その通りだった。
昨夜のコンビニでの会話で私だけじゃなく、神田も危ないことが分かったから、迎えの場所を外にしちゃいけないと思った。
「俺が危ないって…?」
しまった!聞かれた!!
「えっと、あの……」
「神田、今回はこいつが本当に迷惑を掛けっぱなしで悪かったな。」
和君が神田に頭を下げる。
「あ、別に迷惑じゃ……」
「今回の件、あとは俺たちで何とかするから。
お前は何にも心配するな。」
「自分が危ないって分かってて理由を聞くなと?」
「そうだ。」
「何とかするって??」
「神田君、
それは聞かないで?」
聞けば、きっとただのクラスメートではなくなってしまう。
それは嫌だ。
「なんで?」
「もう、神田君を危ない目に遭わせたくないの。」
「だから!!
それがどういう事なのかって聞いてんだよ!!!」
神田がついにキレた。
でもこの作戦は言えない。
「囮になるの。」
扉の方から声がした。
そこにいた人物を見て私は驚きを隠せなかった。