ブスの詩想い
【秋】きみが遠くて
す き
それは口にしてはいけない言葉、
生徒が先生に恋をしたみたいに
それくらい口にしてはいけなかったの。
ねえ、もう鈴虫の音色は聞こえないよ?
夏のようにあたしを
心地よく包んでくれない
なにも聞こえなくなった夜に
寂しさを覚えて。
ひとり、落ち込んだ
ぶす。
実らないと分かってた。
でもね、こころでは“実るかも”
そう思ってた
頭とこころが矛盾してるあたしは
性格もブスだな、
って確信した。
ねえ、戻れるならば
鈴虫が鳴いている季節に、
夜が静かだと寂しいの、
ねえ、鈴虫さん、
あたしのために一曲演奏してくださらない?
そう思った瞬間
枕にぴちゃっと滴が零れた