SとNの法則
ちょうど体育館を出ようとしてる見慣れた茶色頭を見っけてすかさずブレザーの裾を掴んで名前を呼んだ
余りにも自分が出した声がかすれてるもんだから私自身がびっくりする
よく見たら手も震えていて、だけどそれでも私の手はしっかりと灘の裾を握っていた
よし、我ながらナイス!
私に裾を掴まれ立ち止まってゆっくり振り返った灘の顔は予想通りめちゃくちゃ歪んでた
おー懐かしい懐かしい
私は嬉しくて思わず笑いそうになる
うん、やっぱり灘だ、全然変わってない
灘は眉間に皺寄せ不機嫌そうにこっちを見る、いや睨むと言った表現が近いのかもしれない
私の想い人の灘那智はこういう男だっだ
クールを通り越した冷めきったいわゆる氷結シャイボーイって奴で私は彼をクールビューティ灘と讃えてる
前にみんなの前で呼んだらめちゃめちゃ怒られたからもう公の場では呼べないのだけど
そんな(クールビューティ)灘に睨まれたけど私は逆に灘が変わってなくてなんだか嬉しくてしょうがなかった
と言うより灘に睨まれんのはとっくに慣れてるし、灘が笑顔の方が珍しいのだ
まだ眉間に皺を寄せてた灘だけどふと柔らかい表情になった
え、ちょ何?何事?この不思議な現象に思わず身構えると私の後ろに柊が来ていたことに気付いた