SとNの法則
「…灘を分かってくれる人はいっぱいいるよ」
あのことを先輩なりに励ましてくれてるんだろう、ただソファーにねっころがって言ってなかったら俺はもっと感動してたと思う
「灘は良い奴だもん。ちょっとだけ、いやかなり気難しいけど」
普段の俺を思い出してるのか先輩は笑いながらムクリと起き上がる
「最期のは余計ですよ」
「でもそれが灘でしょ、全部引っくるめて灘なんだもん。だから灘は灘のままでいてくれればそれでいいよ」
にっこりと笑って背中をポンっと叩かれる
いつもならその手を払うけど何故だか今日はそんな気にならなかった
「やっほー」
やっと先輩が出て行ったと思えば今度は入れ代わりで五十嵐先輩が入ってきた
時間帯が被らなかっただけ良かった
春休み中からずっと補習だったらしく部活で五十嵐先輩を見るのは久しぶり
「あれ~みんな来てないじゃん、てか灘背中についたそれ何?」
「何のことですか?」
背中を見ると何かがついていた
嫌な予感が駆け巡りそれを取ると見知った字でこう書かれていた
『愛しの灘ちゃん、ああどうしてあなたは灘ちゃんなの!灘だけは私のことジュリエットって呼んでもよろしくてよ!さくらいしーな★』
馬鹿げた内容を見てげらげら笑う五十嵐先輩をよそに俺はぐしゃりと紙を潰した