SとNの法則
今年も学園の名物である校門を挟んだ二つな大きな桜は狂うように花を咲かせる
「綺麗、だなぁ」
その見事な桜が学園の名前となったとされるここ、桜ヶ丘学園
由緒正しいその学園は今日、新しい生徒を迎えるセレモニーの真っ最中であった
暖かく穏やかな天候が続いてたが今日は生徒の背を押すかのようにいつもより風が強く吹く
校門から少し離れた場所である体育館の前には無数の花びらが散っていた
体育館の扉の前に立ってる私も例外じゃなく肩に風に舞ってきた花びらが止まる
私はそれを崩れないように優しくとり手の平に乗せて、しばらく眺める
そしてふっと息を吹きかけると花びらはいとも簡単にヒラヒラと宙に舞って少し開いていた扉の向こう側に吸い込まれるように入っていった
ふわふわ飛んで行き真新しい制服を着込んだたくさんの新入生の中で一人の少年の足元に落ちる
花びらを追っていた視線を変えて扉の隙間から少年を眺めた
くすんだ灰色の制服がその子のキレイな茶色の髪を引き立てているようで
(!、あいつ)
私は気づく
目を奪われるようなその茶色はあの日、初めて茶色がキレイだと思った色と同じだということに
少年は花びらに気づきいたのか茶色のストレートを揺らし足元にある花びらを取るためか体を傾けた