SとNの法則
「痛い痛い痛い痛い帰りたい痛い痛い」
「なら帰れよ」
くそう、失言した
間髪入れずに返ってくる柊の言葉に言い返すことができない
この男はなんだかんだ私の天敵なのだ
「椎菜ちゃんもうすぐでご飯出来るから待っててねー」
打って変わってキッチンからは天使のような声
「はーい!何時間でも待ってますよ、麗子さん。雨が降っても槍が降ってきても鬼のパンチが降ってきても待ってまーす」
「お前の人様に迷惑かけることに関しては奇跡の賜物だな。めったにいねーよお前みたいな迷惑な奴」
明らかに呆れている様子で人を馬鹿にしたような、いや絶対に馬鹿にしている視線に苛立ちを感じながらも冷静を装って反論する
「いや、私からしたらあんな素敵男子と素敵女子から生まれた子供があんたなのが奇跡だよ」
そうなのだあんな素敵な人達が両親なのに柊の心は腐りきっている
前に一度不思議すぎて麗子さんに聞いたことがある
「もしかして柊は拾ってきたんですか」
この質問に麗子さんに大爆笑、そして柊には大激怒されたあの古きよき中2の夏
「いい加減認めなよ、この家の子じゃないって」
「お前は猿だって認めろよ」
「あっはっは。面白いこと言うのね、柊君は…いったん黙ろうかこの野郎」
結局、晩御飯中も柊との冷戦は続いた