SとNの法則
「なぁ、お前まじで何がしたいんだよ…俺をストレスで殺す気か」
風呂上がりの柊はタオルで水の滴る髪をわしゃわしゃ拭きながら部屋に入ってくる
もちろん私の部屋じゃなくて柊の部屋にだけど
柊はまだ帰らない私に相当ご立腹なようで殺気を含んだ視線がぶすぶす私に突き刺さる
「一応これでも大事な用事があんの」
「人のベッドで伸び伸びとゲームする奴をどう信じろと?」
言い返す言葉が見つからずすいませんと謝ってベッドを譲った
「で、何?」
「あのね、」
そう尋ねられ今の立場上、下の私は高そうなカーペットに正座して事のいきさつを話し始めた
灘にふざけてすぎたこと。灘がキレてること。一応は謝りに行ったこと。当然の如く許しを貰えなかったこと。
「それが何で俺んちに来んだよ」
なぜ自分に火の粉がまわってきたのか気に入らないらしい
ここまできてキレられ追い出されたらたまったもんじゃないから慌てて弁解を口にする
「それは今から全力で話すからちゃんと聞いて」
ゴホンと咳をたて声をととのえる
「『あれ?死んだ魚の目してどうしたのしいちゃん』」
私の再現VTR始まり、始まり
長年一緒にいるからまこちゃんの真似はバッチリだ
「なあ、まじ帰ってくんね?」