SとNの法則
新入生の座る椅子を置くため体育館の床には緑のシートが引いてあってその重なってる部分に足を引っかけ転びそうになるがなんとか根性で踏ん張った
が、新入生全員が前にある舞台の中央で話す副生徒会長の話を聞き入ってるため後ろに立つ私にはまだ誰も気づかないでいる
(もしかして私、存在感ナシ?)
「では、桜ヶ丘学園高等部生徒会長、桜井椎菜さんによる挨拶です。桜井さんどうぞ前へ」
ショックでぼけっと突っ立たままでいると進行役の副会長が私に気づき私に向けて手をかざした
もちろん手の方向を辿って一気に後ろに振り返る新入生諸君
それはまるで、練習して揃えました!と言えるくらい一斉に振り返った
思わず、すっげえー!と声に出しそうになった口を慌てて閉じてニッコリと微笑む
(第一印象は大切だからね!)
そして微笑みをキープしたまま新入生の座る椅子と椅子の隙間でできた通路を通って行く
舞台に上がり副会長からマイクを受け取って笑顔を絶やさずに挨拶をし終えると多大な拍手が私に贈られた
やってやったぜ!とニヤリと笑って隣に立つ副会長の顔を見ると足を踏まれた
それはもう思いっきりと
「あぁ、わりー。ゴミかと思ったらお前の足だった」
その発言にただでさえ痛みで何も言えない状態の私をさらに絶句させた