照る照る坊主
子供達の元気な声。

その集団に加わる事なく

彼女は公園の片隅に
しゃがみこんで餌を与える。

蟻は懸命にそれを運ぶ。

ダンゴ虫の死骸。

踏み潰しては

踏み潰しては

蟻に分け与える。

一匹。

二匹。

「ほら、お食べ」

一つの生物の運命が、自分の手中にある至高の快感と

全身の毛穴が狂喜乱舞するような高揚感に

彼女は莞爾として笑む。


ほら、こんなに簡単。


こんなに脆い。


最後に蟻の行列を爪先で踏みにじる。


簡単に壊れる。


簡単に…。
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