機械魔法伝~第二章~
 何せ、当時のリュカは10歳である。リュカのような幼い子供を、事件現場のサイバーシティーに連れて行ける訳がない。不可能だ。

 …それに、リュカはサイバーシティーで血を流して、無念の思いで死んでいった民衆に、何の慈悲も湧かないのか…


 自分はリュカを優しい子になるように育てたつもりだ。リュカはいつからこんな残虐な子になってしまったのだろう…


 すると、リュカは父親の胸ぐらを掴んでいた手を離し、父親をジャンプして飛び越えると、父親に向かってこう言った。


「ちょっと散歩しに行ってくる!」

「あ…待て!人の話は最後まで聞け!」


 リュカは父親の言葉を無視し、廊下にある開け放たれた窓から地上に飛び降りた。






 …リュカは今サイバーシティーから少し離れた岩場を歩いていた。

 退屈退屈退屈…退屈過ぎる!何か私の退屈を埋め合わせる、とっておきのスリルは無いの!?


 リュカはズカズカとワザと音を立てながら岩場を進んでいった。

 …その時、目の前が急に白く光った。

 
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