紅い記憶
 今日もいつも通り5人で寄り道。


 この5人で紅一点の女の子、月山桜は幼い頃からの記憶が全くない。


 つまり、記憶喪失だ。


 その事実は、ここにいる桜を除く4人と、高校でも一部の教師以外は誰も知らない。そして、桜と稔が同居している事は、この5人だけの秘密。
 

 桜は幼い頃、何らかの理由で両親と兄の傍にいられなくなったため、身寄りがない。記憶をなくしたことと、肉親と離れていることが関係しているだろうことはわかるが、これまで桜は何も思い出す気配がなかった。
桜を囲む4人も、それについて言及することもなかった。

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