紅い記憶
「ってーな。謝れよ。」


「………」


「おめーに言ってんだよ!何とか言えよコラ!」




 男子生徒が圭の胸ぐらをつかみながら怒鳴る。



「放せよ。」



 圭は無口で冷静沈着。感情も表に出すタイプではなく、どちらかというと仏頂面だ。そんな圭の態度が気に入らないのか、男子生徒の怒りは増してしまった。



「…んだと!?」


 そう言うと、圭を思い切り殴り飛ばす。

 
 不意をつかれて少しよろめいた圭を見て、男子生徒達は、からかうように桜に近づく。


「女なんか連れて遊んでるから、弱ぇんだよ!この女にもかっこ悪いところ見られちまったなぁ?」


 そして今度は桜を取り囲み、口々に話しかけ始める。


 なれなれしく肩を抱こうとして近づいてくる。
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