紅い記憶
  有名な弁護士のような、強気の口調でしゃべる人だ。



 口が達者な稔も、つい物おじしてしまうほどだった。



 一緒にいる男の人の方は、この女性とは対照的に無口で不機嫌そうにこちらを見ている。





「あなた、記憶がないんじゃない?そして過去に、火事でお父さんが亡くなっている。お母さんは、今どこにいるのかわからない。違う?」




「ど、どうしてそれを?」



「さぁ。どうしてかしらね。それはあなた方が知る必要のないことよ。それはそうと、あなたの騎士さんを紹介してもらえるかしら?」


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