紅い記憶
 何週間か前から俺達の登校中に聞き込みをしてくる、東饗子と矢野政義であった。



「こんにちは、桜ちゃん。あら、よく似合ってるわね。コーヒーもらえるかしら。」



 桜が案内をするよりも先に、スタスタと空いている席に座る二人。


「今日はわざわざこんなとこまでやってきて、何の用?」



 桜はコーヒーを二つ持ってくるなり、冷たく言い放った。



「あら…そんな言い方しないでよ。今日はただの見学よ。あなた達の学校生活と、吉野深雪が働いているこの学校をね。」



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