紅い記憶
「花火、もうすぐだね、稔。」


「あぁ。」


 桜は屋上の手すりにもたれかかっている。


 稔はずっと不安だったことを口にした。



「……あのさ…。ずっと俺のそばにいてくれよ。」


 小さすぎて聞こえなかったのか、桜が聞き返した。


「え?何?ごめん、聞こえなかった。」


 そういうのは聞いてろよ、と思いつつ稔は校門のあたりが何やら騒がしいことに気がついた。


 告白タイムなのか。 


 これじゃ騒がしくて聞こえないか。


稔は大きく深呼吸をして繰り返した。 



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