紅い記憶
「だから。…ずっと俺んとこにいろよ。」


「?うん。だって他に行くところないもん。お兄ちゃんがいることはわかったけど、急に一緒に住むっていうのも…。」


 桜は意味が分かっていてとぼけているのだろうか、または本当に鈍感なのだろうか。


 さすがの稔もそこまではわからない。


「そういう意味じゃねーよ。身寄りがあるとか無いとかじゃなくってさ。なんつーか…その…、離れててもいいから…、あ、よくねーんだけど…、お前の心は俺んとこにいろよ。ってことだよ…」



 稔は顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかった。


「キ…」


 き?きもい?



「キ…キザっぽーい!…でも…あ……ありがとうね。そういう事言われるの、初めてみたい。あれ?おかしいな…何で涙なんか…」



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